建設コンサルタントが求められる成果品の4つの内容【地方の建設コンサルタント】
建設コンサルタントの仕事はどのように収められるか
今回は成果品について解説しよう。
成果品とは?
建設コンサルタントで指す成果品は、一言で言うと、発注者が委託した業務の証拠、と言い換えてもよい。
発注者としては、デジタルな内容でもモノという媒体が求められる。
具体的には、チューブファイルが主流だ。イメージはこんな感じだ。
このほか、設計図面や3次元データ等を格納するために、CDやDVD、外付けHDDとする場合もある。
成果品はモノありき、と覚えて貰えれば十分だ。
また、成果品の規格や数量は、発注者が提示する特記仕様書に明示されていることがほとんどであり、成果品の必要根拠は特記仕様書を基にしている。
成果品の内容
成果品の内容や中身は、業務によって分かれるが、実施レベルで言えば概ね以下の通りだ。
①報告書
②図面
③数量計算書
④参考資料
それぞれ解説していこう。
②図面
③数量計算書
④参考資料
それぞれ解説していこう。
①報告書
報告書は、委託された業務をどのような考え方を基に進めたかを示す資料だ。
成果品に求められること、それは確実なトレーサビリティだ。
誰がその報告書を読んでも、採用した工法の決定根拠、工事方法の解説など、なぜその設計図面になったのかを追跡できることが、報告書に求められる機能だ。
主にWord等で作成されることが多く、設計業務の60%は報告書で構成されているといっても過言ではないだろう。
報告書がないと何が起きるだろうか。
設計図面のみを成果品として提出しても、何を根拠に決定したのか分からないと、委託した発注者が所内だけにとどまらず、議会やサービスを受ける市民に説明できなくなる。
説明できなくなると、過剰な設計をしたのではとか、無駄な工事になるといった憶測が生じてしまう。
誰が読んでも納得できる根拠を提示する。それが報告書の役割だ。
②図面
図面は、一言で言えば、工事が出来る内容が記載された図書だ。
施工会社は、図面を基に工事を進めていく。
その図面は、建設コンサルタントが作成したものが大半だ。
図面は、報告書を基に作成されることで、なぜその構造になったのかを説明することが出来る構成となっている。
図面の種類には、工事対象施設の位置図、平面図、横断図、配筋図などがある。
施設自体はこれらで完結するが、工事をするための計画も必要となる。
例えば、工事に必要な仮設通路や水替え(雨水などの排水)、仮設足場等の仮設工、道路を片側交通にする際の交通誘導計画など、工事のために一時的に構築する必要のある構造物もあるのだ。
そのため、特に実施レベルの図面については、工事を見越した図面の作成が求められる。
③数量計算書
数量計算書は、工事費を算出するための根拠資料と言えるだろう。
図面を基に、対象施設の工事、事業にどれだけの金額が必要になるか、発注者は積算を行う。
この積算のための資料となるのが数量計算書だ。
数量計算書は、
工事全体の数量を取りまとめた数量統括表、
各工事の計算過程を示した数量計算書
に大別される。
EXCELで作られるのが一般的だ。
数量計算書の作成作業は、結構地味な作業であるが、お金に関わる積算に直結するため、精度よく作成することが求められる。
また、数量計算上の数字は図面とリンクすることで初めて意味を成すため、図面と数量計算書は分かりやすくリンクすることが求められる。
ここでも、数量の根拠を図面から読み取れるようにする、トレーサビリティが必要となる。
④参考資料
このほか、報告書、図面、数量計算書に入らないが、重要な資料を参考資料として成果品に格納する。
例えば、施設の構造計算書や水理計算書は、計算の過程を表示していることから膨大なページ数となる傾向にあり、これを報告書内に入れると見づらくなる恐れがある。
また、積算の際に、特殊な製品や一般に流通していない製品を使う場合には、見積書を参考資料として添付することも多い。見積書を添付することで、発注者が積算しやすくなる。
参考資料は、重要な補足資料、と考えて貰えればよいだろう。
成果品の内容はすべて連動している
以上、成果品について解説した。
説明の過程で僕が強調したいのは、成果品の内容はそれぞれが独立しているわけではなく、互いがリンクした構成となっていることだ。
事業費 ⇔ 積算 ⇔ 数量計算書 ⇔ 図面 ⇔ 報告書
左に行くほど、発注者の対応、
右に行くほど、建設コンサルタントの対応となる。
また、図に置き換えると以下となる。
報告書がピラミッドの基礎(根拠の基盤)となり、図面、数量計算書、積算、そしてその事業費を支えている構成となる。
成果品は、どれかが抜けても意味をなさない。それぞれが一体となって初めて成果品として意味を成し、建設コンサルタントはその基礎部を担っていることを是非覚えていただければ幸いである。
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