歴史を築いた技術者に対する感謝と陳情
■まずは感謝を
どの業界にも古参というか古株というか、熟練した技術者はいるものだ。
彼らはその業界の歴史を刻み続けてきた世代であり、人材であり、生き字引だ。
彼らがいなければ、今の僕の働き口もなかったかもしれない。
その意味で言えば、諸先輩方の皆々様には、これまで歴史を紡ぎ、今日まで歴史を維持していただいた点で感謝を申し上げたい。
■技術者の最終目標とは
ところで、優れた技術者の到達点はさまざまな考えがあると思う。
僕の元上司が発言した言葉で、思わず膝を打った言葉がある。それは、
「自分のコピーが増えること」だ。
古参の技術者の普遍的な価値は、自分の理論、知識、ハウツー、様々な要素が絡み合い、深化しきっている「思想」が挙げられる。
「技術」は時代の流れには抗えない。当時は最先端だった技術も、消費期限があり、いずれは陳腐化するし、その速度は年を追うごとに早まってきている。
それでも、自分の爪痕を歴史に刻み込みたい。そのためのひとつの手法は、自身のコピーが増殖することによって果たされる。それが、技術者のひとつの到達点であると、その上司は語っていた。
自分一世代で完結しない、自分の「思想」を、後世に繋げること。
技術者のゴールとして、その上司の言葉は心に響くものがあった。
技術者のゴールとして、その上司の言葉は心に響くものがあった。
■そして引導を
技術者の「思想」の継承。これがひとつのゴールだとするならば、古参の技術者は、場合によっては窮地にたたされる可能性がある。
古参の技術者の価値は、技術の歴史図鑑でない。
もっと抽象的な「思考」の方法であり、そのためのマインドセットとなる「思想」こそが、本質的に求められている事柄だ。
技術は歴史のひとつでしかない。
技術は時代の要請に応じて進化していくのだ。
かつてスタンダードと言われた平板測量は、最早オーパーツ宜しく、遺産と化したことが、正にその象徴と言える。
だからこそ、僕は古参の技術者に問いたい。
だからこそ、僕は古参の技術者に問いたい。
貴方は技術者として、何を成したいのか。
自らの知識や経験のみをひけらかすことが、貴方の本当の価値なのかと。
本当にそう信じているのなら、僕としては、最大限の優しさを持って、業界からの勇退という引導を渡したい次第だ。
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