メンター就任による後輩育成の難しさ

■メンターの経緯


新年度から早2カ月が経過。

今年度は当社に3名の新入社員が入社し、内1名が僕のいる部署に配属された。

同部署において、彼の次に若い社員は僕、という理由もあり、メンターの関係に現在なっている。


■教えることの難しさ


メンターなんて恰好良さそうな響きではあるが、その実際は指導員みたいなもので、会社や部としては戦力になるように鍛えてね、の意味合いが強い。

その中で結構考えさせることがあったので、ここに記したい。
多くは当たり前だろう、という内容だが、中々どうして、社会人を経験してくると当たり前の感覚が薄れてしまうものだ…。

①共通言語を探すことから始まる
僕が所属する部署ではCADをよく用いるのだが、僕は建築系の大学を卒業したこともあり、この会社に入社した際にCADを使うことについて抵抗感はほぼなかった(ソフトが違うことによる多少の障害はあったが微細)。

一方、新入社員は理系のバックグラウンドを持っているわけではない。パソコンに詳しい感じでもない。
つまり、「図面を作成する」というフレーズの意図が伝わらないのだ。

更に砕いて「図面をCADを用いて作成する」といったフレーズにしても、CADとは何か、の反応となり、先ずはCADとは何かを教えることから始まった。

自分の知識量や範囲は相手とは異なるため、実は自身の発言が相手に正確な意図を持って伝わっているかは意外とわからないことを痛感した。

そのため、先ずは相手がどこまでこの分野を知っているか、バックグラウンドを知る必要があることを学んだ。


②何を教えたらいいか分からない

僕が入社した際には、会社では2週間程度の新入社員研修が終了後、すぐさま実践投入されたため、部内での新入社員のキャリアプランを考えて育成するような土壌や計画がなかった。

僕自身はそれでも何とかやってはこれたが、より効率を意識し、意識的に学んでいけるようにすることで、より建設業界や仕事への理解が深まると思い、部内での新入社員の育成計画を検討してみようとした。

が!これが意外と分からない。なんせ考えたことのないこと(研修計画)を一から考えるのはかなり根気がいる。

中長期的な漠然とした目標は建てられる。半年後には業務の補助の割合から、担当の割合を増やしていき、3年目にはある程度業務を担当できるようになれる、など。

一方、短期的に、具体的にどのような過程を踏むべきか、週間工程のようなことになると途端に難しくなる。

現在は、僕の持っている業務の手伝いという形(OJT)で仕事をお願いしている、日々「彼のためになっているのか」、「これが正解なのか」という疑念は尽きない。

想像以上に、教えるということは、教え方をそもそも考えなければならないのだ。


③「俺の背中を見て成長しろ」の不条理さの理解

僕の会社には幸いにして在籍していないが、世の中には、疑問を聞いてみても、「自分で調べろ」とか、「俺がやっていることを見て覚えろ」とか、到底教えているとは言い難い返答だったり態度だったりな上司は一定数いるようだ。

メンターになる前は、理解を促進させ、社員を成長させ、結果的に部署や会社の成長につながることが上司の仕事の仕事だと僕は考えていたので、上記の例は部署や会社の紹介を考えていない怠慢な考え方だな、と他人事のように思っていた。

だが、今ではそんな上司の気持ちもわかる。何故なら、教えることとは、非常にエネルギーが必要であり、根気が必要であり、時間が必要であるからだ。
これを一言でいうと、あんまりよい言葉ではないが「面倒くさい」となる。

長い目で見れば、今新入社員に教えることで、将来的に自分の時間を割くことが出来るようになり、部署の戦力になるのなら教えることが合理的な判断として出てくる。

だが、これは時間に相当余裕がある場合の話だ。実際にはみんな自分の担当業務を持っている中で新入社員に教える必要がある。寧ろ、新入社員の教育が一つの担当業務と同格と扱うべき事案なのだ。

更に言うと、自分が新入社員の時に育成計画がなかった場合、教えられたことはないから教え方が分からず、結果、「背中を見て成長しろ」しか言えない、というのが実態ではないだろうか。


■教えることの先に


端的に言えば、人に教えることは非常に大変だ、ということだ。
しかし、教えることでも良いことがある。

それは、教える側はその内容をちゃんと理解する必要があるため、必然的に勉強するということだ。

その意味では、教えるということは、自身が成長することと同意義なのではないか。

最近はそんなことを考えながら、自身も勉強しながらもなんとかメンターの体を保っている今日この頃なのである。

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