1年目の仕事-その1【地方の建設コンサルタント】

【地方の建設コンサルタントの1年目】

もし、あなたが

地方の建設コンサルタントに就職する予定がある方
地方の建設コンサルタントはどんな働き方をしているのかを知りたい方

であれば、この投稿を勧めたい。

僕は地方の建設コンサルタントの設計部に新卒で入社・配属され、現在も設計部の部員として5年目を迎える。
その意味では、一定の重みのある、実体験に基づいた話ができると考えている。
その1年目をこの投稿では綴っていこう。

この投稿内容がすべての地方の建設コンサルタントが当てはまるわけではないことは重々承知だ。
一方、他社がこの内容から大きく解離することもないのではないとも考えている。
以上を念頭に置いたうえで読み進めていただければ幸いだ。

【4月前半:研修】

4月に入社した僕は、唯一の同期である男性と社外の研修へ参加させられた。
マナーや電話応対のような、社会人としての教養を身に付ける新人研修だ。

僕たちのころは2週間であり、社会人としてのマナーを身に付ける以外にも、ロジカルシンキングやプレゼンテーションの実践など充実した研修だった。

後輩の中には3日間で新人研修が完了した者もいたため、参加する研修によってここは大きく異なる所だろう。

さて、新旧社員が研修から戻るとどうなるか。

即該当する部署に配属される。
比喩でもなんでもない。即、前線に配置される。
社内の部署が何を行っているか、自分の部署とどのような関係性があるか等を学ぶ機会となる社内研修はないと考えて貰ってよい。

会社としてはもちろんいきなり現場に投入するのは気が引けるため、新入社員に徐々に慣れていけるよう、社内研修を実施したい思いがある。

一方、前線である現場は、社員の育成よりも目先の業務でいっぱいいっぱいなことが多く、社内研修を行うリソースを割けない場合が多い。
また、現場サイドの管理者が社内研修の必要性に対して理解が薄いことも往々にしてよくあるケースだ。

その意味では、地方の建設コンサルタントは、新入社員に対して必要最低限の研修は整えているが、以降は特に教育制度を構築しているわけではない、と言える。

【4月後半~5月:現場、CAD操作】

上記でも書いた通り、社外研修が終われば、新入社員は現場に投入される。

建設コンサルタントはいわゆる土木業界であり、僕は大学で土木学科に所属していなかったこともあり、即何かができるわけではなかった。

そのため、研修後は上司に現在請け負っている業務の現場に同行する日々が続いた。
これがいわゆる社内研修のような位置づけともいえるが、その裁量は結局のところ現場に委ねられていたのが現実だ。

また、設計部に配属された僕には、身に着けるべきスキルがあった。
それは、CADだ。

CADとは、Computer Aided Designの略であり、端的に言えば、パソコンを用いた作図の手法を指す。
設計部ではOffice系のソフトであるWordやExcelは間違いなく利用するが、CADもそのうちの一つである。

新入社員であった僕は、先輩が作図した図面の修正など、簡単な作業からCADを使い始めた。

先ずは図面の一部を直し、
出来たら図面を一部作成し、
出来たら図面一枚を作成し、
出来たら複数図面を作成…

といった具合に、CADによる作図のスケールが徐々に大きくなる。

この時、上司や先輩は積極的にCADの使い方を教えるわけではない。
テキストは渡されるが、実習はなく、成果につながる図面の作成を任される(もちろん上司や先輩はその図面をチェックする)。
現場がすでに実習であり、OJTのようなものなのだ。

一通りCADの使い方を覚えたころには、5月が終了しようとしていた。

【6月:最初の試練:数量計算書と客先との対応】

僕の会社では、だいたい入社半年ぐらいで小規模業務の副担当になるのが通例だった。

が、その時の僕の上司は、僕の場合入社3か月目にして、ちょっとした業務の副担当に任命した。しかも工期は6月末。

ボックスカルバート(矩形断面をした鉄筋コンクリート水路構造物)を利用した用水路の設計だったと記憶しているが、当時の僕はボックスカルバートとは何だかさえも分からず、

「何だか分からんけど、響きはかっこいいな!

なんて新卒とは思えない思考をしていた。
が、この副担当は結構大変だった。

なんせ、CADは使えるようになり、図面の書き方を漠然と理解しつつあったが、土木の測量や設計をよく知らない状態で、今度は数量計算書と戦うことになったからだ。

数量計算書とは、工事に必要な材料や工種を取りまとめた書類を指す。
発注者はこの数量計算書をもとに、事業に必要な工事を積算する。

つまり、積算(事業費)の根拠となる、重要度が高い書類だ。
上司や先輩に相談しつつも、この数量計算書の計算の考え方を理解するのに苦労した。

また、理解の不足から、発注者からも電話越しでかなり指摘を受けたりと、ちょっと電話が怖くなった時期でもあった。
それでも、電話越しで怒鳴られたり、怒られたりしなかった意味で、根気強い発注者には救われたともいえる。

そんな不慣れな状況もあり、4,5月は残業0だった僕だったが、入社3カ月目にして初めて残業を行うようになり、また、初めて帰宅が22:00を超える日を経験した。

この時、上司が僕の退社するタイミングまでずっと残っていたのは、きっと偶然ではなく、見守ってくれたんだろうと、勝手に感謝している。

【4~6月の振り返り:いろいろスピードが早い!】

以上、地方の建設コンサルタントの1年目の4~6月を書き連ねてみた。

どう感じるかは人次第と思うが、当時僕が実感したことは、

「色々スピードが早いのが建設コンサルタントなのか?」

だった。

研修が終わり現場に即投入され、
CADを1カ月で覚え、
副担当にあっという間に任命され、
土木を完全に理解していない状態で
図面と数量計算書の作成を行い、
発注者とやり取りを行い、
残業を経験する。

これが3カ月間の間だと思うと、なかなか経験できないと思う。
元に僕以降に入社した後輩はこんなスケジュールでは働いていなかった。

その意味で、この3カ月は流石に特殊例かもしれない。

次回は、引き続き1年目を振り返っていこう。

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