会社の年齢構成を踏まえた若手社員の社内での立ち位置【地方の建設コンサルタント】

地方の建設コンサルタントの年齢構成ってどうなっているの?


就職活動をしている際に、建設コンサルタントのHPやリクルート関連のサイトを見ると社員数、パート人数は把握できるが、どんな年齢構成かは案外わからない。

今回は地方の建設コンサルタントの年齢構成について綴っていく。
僕が書く内容はどこも全く同じという話ではないが、
同業者や業界の動向を基にある程度の傾向をなぞれる内容になると考えている。

偏った年齢構成


結論を言うと、地方の建設コンサルタントでは、年齢構成が偏りがちだ。
以下は僕の勤めている会社の年齢構成をグラフに表したものだ。


上表は社員やパートをすべてあわせた、30~50名の規模の会社と捉えてもらいたい。
社員とパートを分けるべきとも考えたが、働く環境においてはパートさんも存在するので、実感値に近いと考えまとめた形で分けてみた。

世代ごとに分けると、以下のようにまとめられる。
20代…13%
30代…25%
40代…23%
50代…16%
60代…23%

この表を基に各年代について特徴を記していこう。


20代は最も少ない割合

20代としての割合をみると、全体の13%。
さらに前半と後半に分割すると、それぞれ9%、4%。
全体で見てもかなり低い割合であることが分かるだろう。

大学卒業の2年のハンデを考えてもやはり少ない。

そもそも入社する人数が少ない、というわけではない。
案外、入社してくる割合は一定数、毎年若干名ではあるが入社している。
僕が入社してきてからみても、大学卒業の新入社員は7名は入社している。

一方、残念ながらそのうち3名は数年働いた後辞めてしまった方もいる。
今年の新入社員も3年後残っているか、今後どうなるかは読めない。

折角入社してしまった社員が辞めてしまう件については、別に投稿しているので、以下を参照してほしい。

中堅30代、40代の層はそれなり

30代、40代は経験を積み、応用力を習得し、有益な資格を獲得し、会社としても実働部隊と言って良い立ち位置の方たちだ。
マネージャーなどの手腕もあるが、会社の基礎体力はこの世代が担っているといっても過言ではない。

そんな30代、40代の割合は以下の通りだ。

30代…25%
うち、30代前半…11%
   30代後半…14%
40代…23%
うち、40代前半…7%
   40代前半…16%

30代が多いのは、結構貴重かもしれない。
一方、40代前半が薄いのは、将来的なマネージャー層の薄さに直結する可能性がある。

この層は、中途採用の出入りが多いのが特徴と言える。

建設業界は、昨今の人手不足の影響もあり、新卒入社で建設コンサルタントの業務を理解してもらうよう育成するよりも、10年以上実務経験を積んだ中途社員は、文字通り即戦力として引く手あまただ。

地方の建設コンサルタントでは特に顕著であり、中途社員で入社する方、転職で退社する社員はほぼこの世代だ。

マネージャー層の50代は薄い

50代は全体のうち16%。
うち、50代前半は7%、
   50代後半は9%。

全体的に層が薄く、20代の世代と同等だ。
この50代が求められる能力は、大雑把にいえばマネージメント能力だ。

充分な経験を積み、高度な事案にも対応できるこの層は、業務を見た段階である程度の答えをはじき出すことが出来る。
そこから、誰を担当とするかから始まり、業務上のボトルネックがどこになるか、協議対象はどこになるか、更には技術的に何を発注者にプッシュするか、会社がいかに将来生き残るために手を打つか…。

会社の経営層の思想も理解しつつ、30代、40代にその意思を伝達する役目を担うのが50代の特徴だ。

地方の建設コンサルタント、少なくとも僕の在籍する会社はここが薄い。
つまり、統轄的に部や課をコントロールする社員が少ないことを意味する。

そのため、40代の社員がマネージャーもしつつ実務もこなす、いわゆるプレイングマネージャーとなることが非常に多い。


会社のバックボーンの60代

60代は全体の23%。約1/4と考えると結構高い割合だ。

彼らは、会社の技術や経営のバックボーンの体現を成す。
株主であるならいざ知らず、技術顧問という形で、週2,3程度の頻度で業務を支援する。
実働するというよりも、豊富な経験からアドバイザーとしての立場が多いだろう。

このとき、契約は正社員ではなく、基本的に契約社員だ。
一般の慣習に倣い、建設コンサルタントでも60歳定年が基本だ。
再雇用の期間は65歳だが、会社から求められればその期間は伸びる。

僕の会社では、技術顧問として在籍しつつ、自分の会社を運営し、ほかの会社でも技術顧問として活動している方がいる。

この世代は、これまでの経験値やノウハウ、知見がダイレクトに自分の人生の生きがいにつながるように見える。


ピラミッドを成せない地方の建設コンサルタント会社


以上、各世代の割合とその特徴について述べてみた。
ここで改めてグラフを見てみよう。



世代ごとに分けると、以下のようにまとめられる。
20代…13%
30代…25%
40代…23%
50代…16%
60代…23%

ここで指摘する必要があるのは、地方の建設コンサルタントでは人口構成が必ずしもピラミッドをなしていないことだ。

銀行員が同期との競争を勝ち抜き、課長の椅子、部長の椅子、所長の椅子を取り合うようなことが可能なのは、社員の年齢構成がピラミッドを成しているからだ。

地方の建設コンサルタントの場合、このピラミッドは当てはまらない。
何故なら、最も若い世代である20代が最も少なく、また、頂点となる60代の割合が20代の約2倍となっており、上が重すぎるのだ。

10年、20年経過したとき、この世代がそのままシフトした場合、ますますピラミッドを構成することは難しくなる。


崩壊しているピラミッドの中で、若手社員ができること


これを読んだあなたは、ネガティブな印象を覚えたかもしれない。
若手社員が少ない環境なんて、働いていられるのか…と。

だが、ここで違う視点を二つ加えたい。

①若手社員は年齢構成のピラミッドを構成するためにも貴重な存在であり、若手社員を無下にすることは出来ない

会社としては、会社を存続させるためには新陳代謝を常に図る必要がある。
そのため、若手社員の獲得に力を入れる傾向にある。
昨今の売り手市場の動向も相まって、採用活動に力を入れる中小企業は多い。

そのため、若手社員はいろんな意味で優遇されやすい。
例えば、仕事の仕方に対し提案があれば、ほかの世代の社員と比較し届く確率は高い。

この提案に誠実に答えなければ、若手社員が会社を移る可能性があるからだ。

この優遇をどのように捉えるかはあなた次第だが、少なくとも若手社員というだけで武器になるということは理解して損はない。

②比較対象が少ないため、あなたの行動をそのまま受け取る傾向がある

同期が多い場合、自身が望む、望まないに関わらず比較される。
比較されるということは優劣を付けられると同義だ。

比較されることで自分の立ち位置を明らかにしやすいメリットがある一方、そんなに比べる必要もないと考えてもいいのではないだろうか。

地方の建設コンサルタントの場合、同期という存在がかなり貴重であり、少ない。
場合によっては同期がいないなんてこともざらである。

だからこそ、あなたの行動、仕事への取組みが比較というバイアスがかからないニュートラルな状態で評価される。
人によっては、比較されないことにより精神衛生的にも働きやすくなる側面もあるだろう。


若手社員は貴重だ。故に強気でいこう

地方の建設コンサルタントにおける若手社員はかなり貴重だ。

建設業界自体労働人口が低迷している中、なにものにもなれる可能性がある若手社員は、会社としてはのどから手が出るほど欲しい存在だ。

そのような背景があるからこそ、若手社員は強気に出ることで、自分の働きやすい環境を構築しやすくなる可能性がある。

僕はそんなように考えている。

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