地方の建設コンサルタントにおける若手社員のキャリアパスを考える【地方の建設コンサルタント】

地方の建設コンサルタントのキャリアパス



働くうえで、自分がどのようなキャリアパスを描けるのかは、入社前のかたには大きな関心ごとだと思う。

今回は地方の建設コンサルタントのキャリアパスについて綴ってみたい。


「線路」はないが、「通過点」はある



初めに、地方の建設コンサルタントに確立されたキャリアパスはない。

キャリアパスは、結局自分の人生の上に形成されるものなので、人によって変わるし、これが正しいというものもない。
例えるなら、このレールに乗れば間違いなく目的地に着くという「線路」はない。

ただし、「線路」はないが、「通過点」は存在すると僕は考えている。

「通過点」については、土木学会から有益な資料が配布されている。

土木技術者資格とキャリアパス
http://www.jsce.or.jp/opcet/01shikaku/2011_05.pdf

この資料は、土木学会で認定している土木技術者制度の解説だが、キャリアパスの参考になる点が多く記載されている。

以上の資料を抜粋して再編集した表1を以下に示す。

表1

(「土木技術者資格とキャリアパス」表1土木技術者グレードガイドラインを基に再編集)


この表を基に、特に40歳~までを解説していこう。


学卒、28歳~→1~7年目は基礎を形成する時期



まず、建設コンサルタントは、実務経験によるところが大きい。
そのため、基礎を習得する期間が必要となる。

表1では、学卒から28歳、言い換えれば、入社7年間は基礎能力を醸成する期間と言える。

すこし話はそれるが、あなたは10000時間の法則という言葉は聞いたことはあるだろうか。
仕事でも趣味でも何事も10000時間投入すれば、その業界で一人前の能力を獲得できる考えがある。

1日8時間、年間休日120日、実働245日とした場合、この10000時間を確保するために必要な年数は、以下の通りだ。

10000時間 / 8時間/日 = 1250日
1250日 / 245日/年 = 5.1年

以上は仮定ではあるが、一人前になるには5.1年が必要となる計算となる。

実際は、研修や会議、有給など、常に実働245日働いているわけではないため、5.1年よりも少々伸びるぐらいだろうが、7年あれば一人前になれる能力は獲得できると言えるのではないだろうか。

話を戻すと、この年齢層で必要な能力としては、土木の基礎的な知識を習得しつつ、上司や先輩から依頼のある依頼をこなすことが出来る能力の形成が求められる。

資格としては、以前投稿した記事の通り、技術士補がここで上がる。
7年目までを若手技術者と定義するならば、技術士補は若手技術者が望まれる基礎的な知識を保有している証明となるため、ひとつの「通過」点として機能するだろう。


30歳、40歳~→8年目以降は一人前の技術者として能力を発揮する時期



表1の30歳~および40歳~は、若手技術者から一人前の技術者として活動するフェーズとなる。

このフェーズでは、基礎的な知識や経験を基に、専門分野を確立し、自身で問題を解決し業務を遂行することが求められる。
平たく言えば、自分で業務を概ね自分の判断で回せることが出来るようになることだ。

専門分野を確立する意味は、判断する軸を持つと言い換えることもできる。
少なくとも一つの専門分野として軸を持つことで、課題に対し技術的に良いか悪いかを判断できる。

この専門分野を確立させる一つの指標として、技術士が大きく貢献する。
詳細は以前投稿した技術士補に関する投稿に譲るが、以下のように言えるだろう。

技術士補=若手技術者の基礎能力の証明
技術士=一人前の技術者の証明


建設コンサルタントでは才能よりも、時間の投入



いかがだっただろうか。
以下に改めて表1を示す。

表1

(「土木技術者資格とキャリアパス」表1土木技術者グレードガイドラインを基に再編集)


表1は確立された「線路」ではなく、言ってみればガイドラインのようなものだ。
業務の内容や従事した時間にもよるため、あくまで一例だと考えて頂ければ幸いである。

若手技術者の期間が7年間というのは、長く感じるだろう。
僕はそう考えているが、建設コンサルタントに入社した5年目の僕の今の実感値としては、7年間は妥当な印象だ。

よほどの秀才でない限り、基礎は反復しないと身に刻まれない。
経験した直後は理屈や考え方は分かったつもりでも、1回だけではなかなか覚えられない(僕だけかもしれないが…)。

ただ、僕がこの表1を作っていて感じるのは、建設コンサルタントは才能ではなく、努力が必要となる仕事ということだ。

建築家や芸術家はある種の才能が必要となる。
尖っていることで、他の建築家や芸術家と差別化を図ることが出来るからだ。

一方、建設コンサルタントは端的に言えば才能は必要ない。
時間をかけ基礎を積み上げることで、だれでも建設コンサルタントになることが可能だといえる。

あなたが決断さえすれば、建設コンサルタントにはなれるのだ。

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